水道水
pHは5.8~8.6でコントロールされています。
水道水を供給している水道事業体では、ダム・貯水湖・河川からの採水や井戸水などを、ろ過・殺菌・消毒し、厚生労働省令で定められた51項目の水質基準(健康に影響がないとされる基準値)を遵守し、さらに26項目の水質管理目標を設定して水質管理上の留意項目として、厳しくチェックし飲用できるようにしています。
水道水は、水質が良くないといわれている東京や大阪といった大都会でも、これらの基準値を下回っていますので、全国何処の水道水でも、そのまま飲んでも健康上の害はないとされています。採水地にもよりますが、ミネラルもそれなりに含まっています。しかしながらカルキ臭の嫌な臭いが残っていたり、国の基準内とはいえ、トリハロメタンや残留塩素といったリスクのある成分、本来ならば摂取しない体に良くない成分が微量ながら含まれていることをも考えると、飲料や料理などで摂取し続けることに不安があるのも確かです。
このため、飲み水はペットボトルで買い、洗い水や煮炊きする水は水道水を浄水器を通して、より安全な水にして使う家庭が一般的になりつつあります。
最近では家庭用のウオーターサーバーが普及しつつあり、安全性を重視したおいしい天然水がメガボトルで宅配され、いつでも冷水やお湯として飲めるようになりつつあります。例外はありますが、大半が機器レンタル費用は無料で、メガボトルの月々の購入代金だけが発生します。水の消費量の多い少ないによって料金は変わります。
水道管直結のウオーターサーバーも登場してきており、水道水を2段、3段のフィルターを通して濾過しカルキ臭やトリハロメタンや残留塩素といったリスクのある成分、あるいは本来ならば摂取しない体に良くない成分を除去して、冷水やお湯として飲んだり使ったりできるようになっています。こちらは、原水の水道水は自前もちですから、毎月の支払い費用は機器の月額定額のレンタル料金だけです。浄水の消費量が多くても少なくてもサーバーの使用料金はかわりません。水道代が増減するだけです。フィルター交換もレンタル料金の中に含まれています。浄水量の使用の多い家庭や事務所等では、費用の節約になります。
ミネラルウォーター
ミネラル分を含んだ天然水を原料としたものと、ミネラルを添加したり調整したりする加工水があります。ミネラルウォーターは農林水産省が定める「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」に従うと4分類にすることが出来ます。
1、ナチュラルウォーター
特定の水源(水質、水量において安定した地下水の供給が可能な単独水源のこと)から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・ 化学的処理を行わないものは「ナチュラルウォーター」の分類に入ります。
2. ナチュラルミネラルウォー ター
ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地 下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有 する地下水を含む)をいう。)を原水としたものは「ナチュラルミネラルウォー ター」の分類に入ります。
3. ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラル の調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているものは「ミネラルウォーター」の分類に入ります。
4.「飲用水」又は「ボトルドウォーター」
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外の ものは、「飲用水」又は「ボトルドウォーター」の分類に入ります。
「天然水」の表示ができるもの
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウオーターには、「自然」・「天然」の用語及びこれに類似する用語が使用できますが、それ以外のものには使用できません。つまりのところ「天然水」と表示できるのは、ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウオーターだけということになります。
水道水とミネラルウオーターのミネラル比較
ミネラルウォーターのミネラル成分と水道水のミネラル成分を比較した結果が各地の消費者センターから報告されていますが、必ずしもミネラルウォーターのほうが水道水よりミネラル成分を多く含んでいるとは言えないようです。
ミネラルウォーターのミネラル含有量は銘柄により様々ですが、水道水よりも低いものもあるようです。
炭酸水
炭酸ガスを含んだ水のこと。
炭酸水は炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けこんだ水のことで、ソーダ水ともいいます。自然に湧き出る炭酸水は、もともと飲料用や温泉として利用されてきました。炭酸水が人工的に作れるようになってからは、お酒の割り水として使われることがほとんどでした。 無糖の炭酸水を飲むことは、健康効果があるということで注目されています。
福岡県筑後市に「船小屋」というところがあります。ここに井戸があるのですが、この井戸の水は炭酸を含んでいます。飲んだらすぐわかります。これを利用した温泉旅館もあり、昭和天皇がお泊りになった宿というのもあります。矢部川の堤防域にある風光明媚なところです。
アルカリイオン水
アルカリイオン水は、水道水を高性能フィルターで濾過して有害物質や不純物を除去し浄水にした後、カルシウム剤を添加して電気分解しますと、陰極の周りにはアルカリ性のイオン水が集まります。陽極周りには酸性のイオン水が集まります。
アルカリイオン水は、アルカリイオン整水器を用いてつくりますが、アルカリイオン整水器は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性等に関する法律」(以下、薬機等法という)の承認または認証を受けた機器で、医療機器として「医療用物質生成器」に分類され、「家庭用電解水生成器」として規定されています。このため厚生労働省の認可がなければ販売できないようになっています。
薬事認可された効能は、
①アルカリイオン水では、「慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多」に有効となっています。
②酸性水では、「収斂作用が認められる」となっています。収斂作用とは、アストリンゼント効果とも呼ばれ、タンパク質を変性させることによって組織や血管を縮める作用のことです。酸性水を洗顔等に利用すれば、お肌引き締め効果が期待できるということです。
アルカリイオン水に関しては、特定の症状に対して有効という認可を受けていることになりますので、万能であるというわけではありません。
アルカリイオン水は、水の電気分解により、水酸化イオンOH-と水素ガスH2を含んでいます。微小水素気泡は1日放置した後でも安定して存在するようで、この水素の存在がアルカリイオン水が注目されている要因の一つでもあります。
アルカリイオン水の特徴
1、pH 8.5から10.5前後のアルカリ性の水。
2、原水よりもカルシウムイオン等が20~30%増加。
3、浸透圧が高い。
4、溶解力が高い。
5、熱伝導、電気伝導が大きい。
アルカリイオン水は、主に飲用や調理水として、また化粧品の原材料として使われています。
水の電気分解で得られるアルカリイオン水
水の電気分解は、水に直流の電流を流して行います。水に直流電流を流すと陰極側にプラス電気を帯びた陽イオンであるH+(水素イオン)が、陽極側にマイナス電荷を帯びた陰イオンであるO-(酸素イオン)が引きつけられます。陰極側に引きつけられた陽イオンであるH+(水素イオン)は、陰極から電子を受け取り水素となります。陽極側に引きつけられたマイナスであるO-(酸素イオン)陽極に電子をわたし、酸素となります。電気分解で陰極側に水素が、陽極側に酸素が発生します。
水素原子も酸素原子も全体的には電気的に中性ですが、中をみるとプラスの電気を持った陽子とマイナスの電気をもった電子があり、それらがプラス電荷、マイナス電荷を同じ量だけ持っており、全体として電気的には中性となっています。
イオンの中には原子が2個以上集まり、全体として電子が不足して陽イオンとなったり、逆に電子が余って陰イオンとなるものがあります。水酸イオンOH-は、酸素原子と水素原子が強く結合し、全体として電子が余って陰イオンとなったものです。
陰極側のアルカリイオン水には、イオン化したミネラル成分も引きつけられますので、ミネラル分を多く含んでいます。ミネラル分を多く含む健康水でもあります。また、アルカリイオン水は、クラスターが小さくなりますので、浸透力が高まり、体に吸収されやすくなります。
電気分解して得られるアルカリ性イオン水から有毒物質が除去され、ミネラル類の値が高くなるわけとは?
ご存知のように、水は強い溶解力を持っていますので多くの物質が溶け込んでいます。 溶け込んだ多くの物質はそれぞれイオン化した状態で存在しています。プラスあるいはマイナスの電荷をもった状態です。
これを電気分解すると、マイナス電極側にはプラスにイオン化した物質が 、プラス電極側にはマイナスにイオン化した物質が引き寄せられます。
カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウム等はプラスにイオン化されていますのでマイナス電極の周りに集まります。つまりアルカリイオン水側に集まるわけです。これがアルカリイオン水のミネラルが増える理由です。
一方、塩素や硫黄、六価クロムなどの有毒物質はマイナスにイオン化されていますのでプラス電極の周りに集まります。酸性水側に集まるわけです。
活性炭や高密度繊維を使ってもなかなか除去できなかった中性洗剤の成分、ABS樹脂 LAS 樹脂もプラス電極側に引き寄せられるようです。さらに、発がん物質であるトリハロメタンは、電気分解によってマイナスハロゲン原子とメタン原子に分離し、毒性を激減させるとともに揮発性のガスとして放出されるようです。
アルカリイオン水を飲む場合の注意点
アルカリイオン水はpH 8.5から10.5前後のアルカリ性の水ですから、胃酸過多、つまり酸性である胃酸が出すぎて調子が悪い人にとっては中和されますので効果的だと思います。しかしながら、アルカリイオン水が健康に良いという思い込みがあると、どうしても飲みすぎてしまいます。胃の働きが健全な人、あるいは胃酸過多の人でも、アルカリ性の水を飲みすぎると、胃酸が弱ってしまうことがあります。飲む量、飲み方には注意が必要です。胃酸の持つ「消化力」や「殺菌力」を弱めてしまう可能性があるからです。自分で判断せず、医師に相談して飲むようにすれば最善です。
RO水
RO水とは、水道水もしくは天然水を「RO膜」という超微細なフィルターでろ過した水です。
RO膜とは日本語でいう「逆浸透膜」のことです。
RO膜は無数の小さな穴を持ったフィルターで、その穴の大きさは0.0001ミクロンと電子顕微鏡でも確認できないほど小さいものです。このフィルターを通った水道水や天然水は、すべての不純物や細菌はもちろんのこと、ミネラル分さえも除去された無味無臭の純水(ピュアウォーター)となります。
RO水はミネラル分が少ないため、飲用水としてはあまりおいしくありませんので、市販されているRO水には、人工的にミネラル分が添加されているケースが一般的です。
RO水は純水に近く浸透性が高い点が特徴で、煮物や汁物などに使うと食材の味を生かした調理が可能です。
精製水
「精製水(せいせいすい)とは、蒸留や濾過やイオン交換などの手法で濃度を上げた、比較的純粋な水である。無色透明・無味無臭で、場合によっては紫外線などで滅菌または殺菌されている。
日本薬局方では、水は常水・精製水・滅菌精製水・注射用水に分類されており、精製水は科学実験の溶媒や、コンタクトレンズや医療用器具の洗浄など、雑菌が混入してもあまり影響がでない用途で使われる。 」以上「ウィキペディア(Wikipedia)」 より抜粋。
以上のように、精製水は純水の一種で、蒸留や濾過やイオン交換などの方法により塩素やミネラルなどの不純物を除去した比較的純水で、化粧品などにも利用されています。
RO水と同様に浸透性が高く、肌への刺激が少ないことから、化粧水やコンタクトレンズの保存液などにも使用されます。精製水は大きく分けると医療・美容・健康目的で使用される場合と工業・自動車用で使用される場合とがあります。
ドラッグストアなどで市販されていますが、雑菌が繁殖しやすいため取り扱いには注意が必要です。購入後の精製水は、冷暗所などに保管します。精製水には、メーカーによって使用期限があり、使用期限内であれば純度の高い水として使用することが可能です。精製水は、殺菌剤が除去されていますので、開封後は冷蔵庫で保存し、1週間以内に使い切ることをお勧めします。
海洋深層水
海洋深層水は、水深200メートルより深いところにある海水のことです。水の中では重いものは下に沈みますので、海洋深層水も例外ではなく、海面の水に比べると、重量の重いミネラル分濃度は濃くなっています。このため海洋深層水には海面または海面近くの水に比べるとミネラル分が多く含まれています。海洋深層水には、市販されているミネラルウォーターよりもマグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラル分が多く含まれています。
さらに水深200M以下になると、海水の動きも少なくなり海水中の酸素の量は減ります、さらに太陽の光も届きにくくなるため、有機物や雑菌類の繁殖は少なくなります。このため、海洋深層水の塩分を取り除くとミネラル豊かな飲料水に適した水となるのです。海洋深層水は、飲料用として利用されるだけではなく、食品や化粧品、医薬品などにも活用されるようになっています。
参考文献
水最後の選択 阿部一理著 メタモル出版
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