中小企業経営者の最後の社会貢献「事業承継」
後継者のいない中小企業経営者の悩みを解決する有力な手段の一つが「M&A」による事業承継です。「M&A」というと、どうしても「敵対的買収」イメージがついて回りそうですが、中小企業の「M&A」は、非常にフレンドリーに終始するのが通例です。
廃業を考えている中小企業経営者のみなさん、「うちの会社なんか買ってくれるところはないよ!」といったマイナー思考はやめにして、「M&A」を考えてみませんか。新たな道が開けてくるかもしれません。
99%が中小企業と言われる我が国にとって 、中小企業の事業存続は雇用継続や地域経済の活力維持、しいては日本経済の縮小化を避けるためには非常に重要な問題なのです。
2017年の中小企業庁の試算では、今後10年間に70歳を超える中小企業経営者は約245万人にのぼり、このうち約半数が後継者が決まっていないという。これをこのまま放置すると、今後10年間で約650万人の雇用が失われ、国内総生産(GDP)の約22兆円分が消える恐れがあるとのことです。廃業の弊害や日本経済に与えるリスクを考えると、少子高齢化の進展とともに深刻化する事業承継問題は、関係者に危機感を募らせています。
近年、後継者難による廃業対策として 中所企業のM & Aが注目されてはいますが、まだまだ浸透しておらず、「M&Aという言葉は知っていても、自分の世界の事とは思っていない」という経営者が大半のようです。それに、自分が長年汗水たらして支えてきた企業を売買することに抵抗感があり、割り切れないモラル意識にさいなまされているようで、まだまだM&Aを企業承継の一つの方法として考えている経営者は少ないようです。
それでも M&A の買収側企業は確実に増えてきています。 企業規模を大きくしたい、 異分野へ進出したい、 事業の多角化を図りたい、 企業体質を強化したい、 といった積極経営企業も少なくはありません。 昨今、 海外企業が日本の中小企業を買収するケースも増えてきています。 現在の中小企業のM&Aの実態は、「買い手」よりも「売り手」のほうが不足しているようです。
ところが、企業の倒産件数は年々減少しているのに、休廃業・解散件数は増加傾向にあり、中小企業経営者にとって、事業承継は切実な問題になっているようです。このため国も、事業存続のために、中小企業経営者に早い段階でM&Aを検討するように働きかけるための情報提供や各種支援制度を作り、M&A支援を強化しています。
M&Aのみならず、従業員への承継も視野に入れた、税制面での優遇措置が図られつつあります。
少子化で日本経済の縮小化が懸念される中、さらにこれに追い打ちをかけるような休・廃業の増加による経済的縮小化は避けねばなりません。それには後継者が決まらないまま放置せずに、今後10年間で約650万人の雇用が失われないように、国内総生産(GDP)の約22兆円分が消えることがないように、事業承継をきっちりとやっていく必要があると思います。中小企業経営者がこれまで取り組んできた、質の高い製品・サービスによる社会貢献とともに、企業存続、従業員の雇用維持による最後の社会貢献も大事だと思います。
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