M&A等第三者への承継
35~40年前まで、M&A等第三者承継は4%だったのが、0~5年前になるとM&A等第三者承継は39%まで伸びています。(経済産業省「事業承継に関する現状と課題(平成28年4月)」)
M&A等による第三者承継は、0~5年前で39%まで増加しています。親族や従業員への承継が難しい場合いは「M&Aや第三者承継」か「廃業」かに絞られます。
親族、従業員、その他の関係者から後継者が見つからなくて、仕方なしに廃業される経営者が年間数万人いらっしゃいます。仕方がないとはいえ、廃業はデメリットが大きく、 従業員の雇用も継続されなくなり、負債が経営者に残り続ける場合もあります。
廃業の決定要因は「後継者がいないから仕方ない」というあきらめにあるようですが、検討して頂きたいのが「M&A等第三者承継」です。この承継がうまくいきますと従業員の雇用は維持されます。これは廃業に比べると大きなメリットです。
既にこの M & A を利用した経営者の多くが、「現在の従業員の雇用を確保し続けることができるならば」という思いで踏み切られています。現に、買い手を選ぶ場合に「企業価値を高く評価するが従業員の雇用は保障しないという会社」を選んだ経営者が2割だったのに対して、「企業価値を低く評価されても従業員の雇用を保障してくれる会社」を選んだ経営者が7割いたそうです。このことから、中小企業経営者が事業売却を考える際に、自分の儲けよりも従業員の雇用を優先させていることがわかります。
中小企業レベルでの M & A が伸びてきている原因は、 TOBといった「敵対的買収」等を行使する大企業の M & A に比べ、 友好的であるからと考えられます。「企業価値の算定額は低いが、従業員の雇用は保障するという会社」を希望される経営者が大半なのです。
一般的に中小企業は、上場していませんので、 TOB等の「敵対的買収」はほとんど起こりえません。 中小企業レベルでの M & A は、売主と買主の合意のもとで行われる友好的な買収と言えます。 売却価格よりも今まで経営者と苦楽を共にしてきた従業員の今後を第一に考えるといった買収なのです。ところが経営者の多くは、友好的なM&Aと言う概念が理解できず、大企業が行う敵対的買収や乗っ取りのイメージを強く持っておられます。これがM&Aに躊躇される理由のようです。結果として、あきらめて廃業を決意されているようです。
中小企業のM&Aは、売主と買手の双方がお互いに尊重し合って決定する友好的なM&Aがほとんどだということを理解され、覚悟されている廃業を見直してみれば、心配事であった従業員の雇用問題は解決するかもしれないのです。従業員のためにも、そして経営者自身のためにも、今一度、中小企業の昨今のM&Aの実態を調べられたほうが良いのではないかと思います。
中小企業のM & Aにも、戦略的M & Aがあります。 買い手によっては、 相手の会社の営業権が欲しい、 あるいは客先が欲しい、 この部門の技術が欲しい、 この技術のノウハウが欲しい、といった全体ではなく部分を欲しがっている場合があります。 これは買い手が自社の弱い部分を補強して体制を強化する場合に使う部分的M & Aです。 こういう場合、その部門を分社化して企業価値を上げて売却するという手法がとられることがあります。 しかしながら売却価格はアップするでしょうが、雇用を継続できるのはその部門の従業員だけになります。
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